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  (ご報告)2023年度地区懇話会「岸和田の魅力が広がる 観光の今と未来−南大阪をリードする城下町・農・食の観光−」(主催:日本観光研究学会関西支部、共催:岸和田市)(2023年10月29日)
 
2023/10/31
  (ご報告)2023年度地区懇話会「岸和田の魅力が広がる 観光の今と未来−南大阪をリードする城下町・農・食の観光−」(主催:日本観光研究学会関西支部、共催:岸和田市)(2023年10月29日)

岸和田市はすでにだんじりや岸和田城等の歴史的資源がありますが、さらにまちなかでは周辺城下町の整備・活用、郊外部では道の駅「愛彩ランド」を中心とする農業・農村観光等を進め、そして、今、新しい観光魅力の拡大のため、豊かな海の幸・山の幸を活用し、岸和田の新しい食をつくる「食の磨きあげ事業」にも取り組んでいます。今回は、市長様はじめ市内の民間のキーパーソンがそろって、岸和田観光の魅力の拡大や今後の可能性について語り合い、大変盛り上がりました。

(ご説明)★「地区懇話会とは?」日本観光研究学会の関西支部で毎年、自治体と連携する地域大会です。近年「定住人口だけでなく交流人口へも注目」という政策で一般的な住宅都市や産業都市でも観光都市を目指すところが増えてきており、これまで堺市(2016年度)、池田市(2017年度)、河内長野市(2018年度)、尼崎市(2020年度)、高槻市(2021年度)、貝塚市(2022年度)と応援してきました。

(1)9:30に集合し、市内見学・エクスカーションを行いました。13名の参加でした。当日は晴天に恵まれ、南海岸和田駅から出発し、農村丘陵部にある愛彩ランド(道の駅)に向かい、入場制限をするほど繁盛している直売所、地産地消レストラン等について、JAいずみのの組合長の谷口氏に案内いただきました。その後、岸和田城を含む周辺城下町について、岸和田市観光ボランティアガイドにご案内いただきました。岸和田城には、当時の大坂城にとっての紀州や四国などを含む南方面の守り手としての役割があったことなどを教えていただきました。また、古民家リノベーション物件「朝比奈亭」(当初公演のため予定変更)で昼食をいただきました。

(2)ウォーターフロントに建ち、大阪湾や岸和田の市街地を見晴らせる、南海浪切ホールの特別会議室にてシンポジウムを行いました。主催者等も入れて48名の参加でした。
1)まず、当支部長の小長谷一之及び共催者である岸和田市の堤副市長より開会のご挨拶をいたしました。
2)つぎに、永野耕平岸和田市長より「岸和田市の魅力が広がる、観光の今と未来」と題し、岸和田が大阪と関空の中間地点にあることから「世界に一番近い城下町」として発信し、市域全体を城下町と捉えて、城下町泊を進めていること、外から岸和田を見た場合の認知度と魅力度のギャップについて、農産物や海産物の豊かさを活かし、「泉州和タリアン」として2025年の大阪・関西万博も活かし、世界に向けてブランディングしていきたいなど、話題豊富な基調講演がありました。
3)続いて、パネルディスカッションとして、まずパネリストからの話題提供として、
@中原啓尊氏 (岸和田古眠家Base代表)からは、市内に広がりつつある空き家(古眠家)を対象に、多様な知識や技能を持つメンバーと連携し、物件をリノベーションする活動について、お話をいただきました。
A谷口敏信氏(JAいずみの組合長)からは、道の駅「愛彩ランド」の直売所は地元産率85%をめざしている(大阪府の食料自給率は約1%)、年間約100万人の利用があり、その集客力も活かして、周辺施設や資源との連携し、グリーンツーリズムを展開していきたいとのお話がありました。
B森孝司氏(大阪調理製菓専門学校 校長代理)からは、岸和田をはじめとする泉州地域の海、山の幸を活かし、世界に発信する「泉州美食EXPO」や、岸和田の新しい食をつくる「食の磨きあげ事業」についてのお話がありました。
C阪口寿子氏(岸和田市観光振興協会 事務局長)からは、「だんじり」だけではない魅力をSNS等で発信すること、南大阪、泉州エリアなど広域で、今だけ、ここだけ、あなただけの着地型ツアーを商品化、販売していくことについてをご説明をいただきました。

(3)続いて、コーディネータとして支部長の小長谷一之(大阪公立大学大学院 都市経営研究科教授)が務めパネルディスカッションに入りました。会場からも活発な質問や意見もあり、パネラーから今後の岸和田観光のあり方についての提言がありました。さらに、永野市長様等からも提言等に対する総括的なコメントもいただきました。それらの中の主な意見を紹介します。
@観光にとって一番大切なのは「回遊性」、1日で回れるエリアの「回遊空間」の設計である。特にシニアや女性が好む地域は、スイーツやカフェなどのお店が一定まとまってある場合が多いが、岸和田は点の状態、点と点をつなぐ必要あり、例えば城下町エリアで「和タリアン」などの集積ができれば、そこをめざしてシニアや女性が集まるきっかけになるのではないか。「古民家+城下町+食・農」の連携が大切である。
A愛彩ランドで年間100万人、蜻蛉池公園も100万人、そして次世代型シッピングモール「WHATAWON」が来春オープンすると、丘陵地区はかなりの集客力アップが見込まれる。そうしたチャンスを活かすことも含めて、農村部での連携した活性化や市域全体への波及・回遊について考える必要がある。
B本日のシンポジウムで、岸和田が魅力的な場所があり、取組が進んでいることがよくわかったが、自分の実感も含めて、それらが市民には伝わっていない、マーケティング、ブランド化がない。対外的にも発信できていないのではないかと思った。市長のお考えを聞きたい。
C取り組んでいる市民や団体、事業者に方はそれぞれすごいパワーを持っている。もう一方で連携も大切なので、「観光」というキーワードでお互いに取組どうしがうまくつながっていただくことも考えたい。
D全国的に農家数が減っており、後継者不足で未来の農業を担う人材が減少していると聞くが、岸和田市の状況はどうか。愛彩ランドの取組など成功事例についてはわかったが、それらの未来の担い手人材はどんな状況か。
E岸和田市でも全国的な状況と同様で担い手不足である。「もうかる農業」が大切である。JAでは新規就農者を募集し、一定期間トレーニングをして、就農いただく取組をしている。そして「もうかる農業」をめざしてもらっている。今や、血縁関係の後継者にこだわるのではなく、やりたい人や企業が農業に参入して農地を活用していくことに主眼を置いている。
F漁業の世界でも若者が新しいスタイルの漁業で活躍している。昔のように、魚が獲れる時にはみんなが競うように一斉に漁に出て大量に水揚げし、市場に出荷して、値が暴落するようなことではなく、持続的に漁ができるように、また、値が一定の水準で安定するように、順番に漁に出る体制を構築したり、漁をする漁船と、漁船から運搬して水揚げする漁船の役割分担をして作業効率化をめざすなどの取組をチームとして行っている。水資源管理や地域経済、働き方なども含めてSDGsの考え方に沿った取組である。
G本日のシンポジウムで再確認できたことの1つは「連携」の大切さである。岸和田市内で取組を行っている団体等の強すぎる個性やパワーをより活かしていくためにも、お互いに連携することが大切であるし、岸和田だけに閉じこもらず、海から山の縦軸、泉州地域どうしの横軸など連携も含めて、進めていくことが大切である。
 その他にも沢山の熱心なご意見・ご提言がございました。最後に、市長のコメントもいただき、波積副市長から締めのご挨拶をいただきました。
 今回の地区懇話会は熱意のある参加者が多く、盛況でした。市役所および関係団体のみなさまのご協力には深く感謝申し上げます。
   
 
「2023年度地区懇話会「岸和田の魅力が広がる 観光の今と未来−南大阪をリードする城下町・農・食の観光−」(2023年10月29日)」
   
 
「2023年度地区懇話会「岸和田の魅力が広がる 観光の今と未来−南大阪をリードする城下町・農・食の観光−」(2023年10月29日)」
   
 
   
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